介護と利用者の家族
利用者の家族というのは、様々です。決まった系統の人という人はいません。
どんな人でも老人ホームを利用する可能性があるという事です。
ただ、利用者はよく家族の話をしています。
家族の話しかしないと言ってもいいくらいです。だから、家族との面会を楽しみにしていますし、それだけを楽しみにしている利用者もいます。
家族自慢。
自分の家族が東大に行った事ばかりを話す利用者がいます。
実際に東大に行った子供がいるらしく、「私のとこの子供は5人も6人も東大に行った」としきりにそればかり話すのです。
子供というものは、人生で生きてきた証です。
最終的には、自分の子供がどうなったというところで、その人の人生が決まります。
どんな過酷な人生を送ってきたとしても、自分の子供が成功してくれれば、それでいいのです。その利用者を見ていると、人生の終着点はそこなのだと、改めて思わせます。
皆さんも子供だけはしっかりと育ててください。
そこで、悔いのないように子供だけは沢山生んで、立派に育ててください。
それが年寄りになった時の心の支えになります。
認知症になると、幼児退行して、自分の父親や母親の話をしだす人もいます。何かにつけて、「ママー」と言ったり、「パパー」と言ったりして、介護職員に甘えてきます。
自分の旦那さんの事をよく話す人もいます。何か困った時には、「父ちゃん」とそればかり言うようになります。
やはり家族というのは、生きた証です。人生において支えになるものです。最終的にはそこに辿り着くものなのです。介護の現場にいるとそれがよくわかります。
・怒りっぽい人は家族がいない事が多い。
家族がもう亡くなってしまったり、家族を作らなかったりする人は怒りっぽい人が多いです。それは現役の頃、仕事に打ち込んでいた証拠であり、自我が強いという事でもあります。頼れるものが自分しかいないから、虚勢を張っているのです。
それもそれで自分の人生なのですが、何か寂しいものがあります。
老人ホームにまで来て、ガミガミ怒っていたりするのを見ると、もうちょっと家族というものを作っても良かったのではないかという気持ちになってきます。
・クレームが多い家族さん。
多くの家族さんは、お世話になっているという事で、介護スタッフに親切にしてくれることが多いです。
お菓子を持ってきてくれたたり、色々と気を使ってくれます。
ただ、本当に色々な人がいるので、中にはクレームが多い家族さんもいます。
そうした場合、面会に来る度になだめるという事になります。
また、癖のある人もおり、介護スタッフをそのつもりはなくても罵ったり、おむつなどの購入費を抑えるために施設での購入を拒否して自分で持ってきたおむつしか使わせなかったり、横柄な態度を取ったりするような家族さんもいます。
家族さんというのは、中には認知症を持っている方もいるので、利用者にとって本人の代わりに意思疎通ができる唯一の人であるという場合もあります。
老人ホームに入れる時は、なるべくならば、面会の度に気を使っていくような姿勢を見せていくのがいいでしょう。
やはり、家族さんから攻撃されたりすると、介護スタッフもぎりぎりのところでやっていますので、モチベーションが下がったりします。
より良い介護はまず環境がしっかりしていないといけません。
その環境の一つが家族さんであったりするのです。
また、利用者さん本人にとっては家族さんだけが、生きる誇りです。家族さんが定期的に面会に来てくれると、すごく喜びます。
家庭で世話ができなくなったから老人ホームに入れるのですが、やはり本人の事を考えると、頻繁に面会に行ってあげると、利用者本人のためになります。